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Azul図書室 今まで読んだ本の「自己の記録」であり、誰かの目に留まり手にとって読んで頂けたら、さらに嬉しいとても私的な「ブックコーナー」でもあります。時間つぶしにお立ち寄りください。
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ディック・フランシスさんの「競馬シリーズ」を夢中で読んだのは80年代中盤から90年代前半にかけて。最近はあまり読むこともなくなっていたのですが、図書館で見つけて久々に楽しむ。
アメリカの文学に比べると、遠回しなというか、ひねられた文体が続く。リズムに乗るまでは読みづらかったが、登場人物が次々現れてテンポが上がってくると、本から目を離せなくなる。今回の主人公は、騎手を友人に持つガラス職人、という設定なので、競馬場や厩舎の場面はほとんどない。やっぱり、レースのシーンや、調教のシーンが多い作品の方が個人的には好きです。

2006年に、ずっと翻訳をされていた菊池光さんが亡くなっていたのですね。同じ時期にハマって読んでいた「87分署シリーズ」のエド・マクベインさんももうこの世にはいない。フランシスさん、お体に気をつけて、執筆活動を続けていただきたいものです。私も頑張ってついてゆきます。

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映画にもなって、最近公開されたそうだ。

インド人の夫婦が、仕事で身を立てるためにアメリカに住み、アメリカで子供を育て、そしてその子供がインド人としての、アメリカ人としての、アイデンティ ティに悩みながら成長し、いつか両親の生き方を理解していく、といった、悪く言うとよくあるっぽい話なのだが、小説はプロットの面白さが命だとは私はまっ たく思っていないので、こういうどこにでもある題材を優れた文章力で表現している本に出会うと、とても嬉しいのだ。

ストーリーが奇想天外なわけではないので、映画化はどうか、って話になるのだけれど、こういう話のほうが逆に映像の美しさや音楽の美しさ、俳優の巧さなどが素直に入ってきて、映画館なんかで観るととてもいい気分になると思うのだ。

アービングの小説に登場した、数知れぬ「フリーク(奇形)」たち。ピークは「ホテル・ニューハンプシャー」だったかなあ。「未亡人の一年」には、当時のようなフリークは登場しない。その代わり、4人の小説家が出てくる。これもフリークといえばフリークなのかもしれない。実経験以上のことをかけない小説家、実生活と重ねられることを嫌う小説家、実経験を超えることの出来ない小説家...小説って何なんだろう、って小説を読みながら思う不思議。個性的な登場人物、舞台となる土地の描写もあざやか。成熟の域に達したアービングっていう感が強い一作。その代わり、ラストに流す涙は、「ホテル・ニューハンプシャー」に比べれば少量です。でも、すごい。


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