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Azul図書室 今まで読んだ本の「自己の記録」であり、誰かの目に留まり手にとって読んで頂けたら、さらに嬉しいとても私的な「ブックコーナー」でもあります。時間つぶしにお立ち寄りください。
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Cutは1990年の創刊の、映画と映画にまつわるサブカルチャーを扱った雑誌。映画雑誌と言えばミーハー的な「スクリーン」とか「ロードショー」か、知りたいと思う視点が個人的にずれていた「キネマ旬報」ぐらいだったのが、80年台後半あたりから「Flex」や「Premiere」が登場し、私の部屋にはそれらの映画雑誌の山が積まれていくこととなった。そして、極めつけがこのCutだった。

FlexやPremiereが、当然なんだけど最新映画の記事中心になるのに対して、Cutは「人」中心だった。そしてそのインタビュー記事などを飾るポートレートの美しさが、他の雑誌の追随を許さなかった。1990年に登場した(本当の意味での)セレブたちは、黒沢明、マドンナ、ディヴィッド・ボウイ、キース・リチャーズ、ウッディ・アレン、エディ・マーフィ...Cutの表紙ポートレートだけで写真展が出来る...

1990年から2005年の変遷を眺めていると、私がCutを読むのをやめた時期が明確にわかる。1998年。この年以降の号を1冊も持っていないし、見覚えのある表紙もない。

1998年のキャッチを読むと、

「タイタニック」にはじまり、「タイタニック」に終わる。豪華客船が映画史にその名を刻んだ。

とある。確かに、あの映画が大ヒットした頃から、私は映画を徐々に観なくなったよう思う。別にあの映画がきっかけではないかもしれないし、もしかして1998年の「タイタニック」という細い穴を抜けていくと、実はあの映画が元凶だったっという密やかな結論にたっするかもしれない。思い違いかもしれないが、よく行っていた大阪市内のミニシアターが閉館になり始めたのもこの頃以降だったような気がする。このあたりのことについては、じっくり考えて見たい気もする。

さて、この16年間に表紙や本誌を飾った人々の中には、一瞬の輝きを放った後消えていった人々もいるし、バージョンアップを続けている人もいるし、まったく変らない瞳孔の奥から光を放つ人もいる。よく見ると90年代前半から、何度も特集されインタビューされ続けている人がいる。

「ジョニー・デップ」

最近はすっかり海賊屋さん、かと思えば、カルトな映画にもちゃんと顔を出してくれてる。いつからか私は彼を、「ディップ先生」と呼んでいる。彼はすごいのだ。海賊屋さんやってる場合じゃない。スター(と呼ばれるもの)の仲間入りをする以前から、唯一無二のオーラを放ち、今なおそれを失っていない人も珍しい。そう、「ギルバート・グレイプ」はまぎれもなく彼のための映画だった。

さて、映画。映画館からはすっかり足が遠のき、ビデオを夜な夜な観ることもほとんどなくなった。でも、やはり私は映画を愛しているかなあ、と思う。1990年~98年のCutの表紙を眺めて、たとえ過去のものであっても、過去でものであるからこそ、ごそごそ引っ張りだして愛することができるもの、それが映画のような気がする。


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